新婚旅行はパリ
彼女の友人が突如結婚を発表し、しかもパリで暮らすと言い出した。
それに釣られて彼女が「新婚旅行はパリにしよう」と言い出した。
「何故?」
「寂しいじゃん」
その友人に会いたいらしい。
勢い余って、別段行きたいところもないのだし、一度くらいパリと言う気持ちで
「うん、いいよ」
と言ってしまったものの、結婚するのが決まってないうちから、こういう話をして、なんだか冴えない気持ちになった。
というのは、結婚したくない男が結婚を迫られているからとかそういうんじゃなくて、なんというか、過去の果たされなかった約束を思い出して、ご多分に漏れず、今回の話もそうならないとも言い切れないという懸念というか老婆心というか…
嫌だね、こういう年の喰い方は。
そんな中、「燃油サーチャージ」という言葉を聞いて、テレビを振り返る。
「欧米は一人5万って、高いな…」
何だかんだで、パリ行く気になっている自分に気づいた。