やっぱり俺はこの子の事が好きなのだ

妻との出会いから子育てまで

「金をもうけたらこんな船ら、どっさり買うよ、俺」よしかずは甲板に頬をつけ、目を閉じた。
大きな甲板だった。船は燃えるように熱い。なにもかも熱のさなかにある。
 なかば水に浮き、なかば陸に乗り上げている船だった。船が燃え上がり、その船にへばりついた俺らが炎のように燃えていた。夢はなにもない。昔のことも、将来の事も考えない。炎はただ燃えている。

十八歳・海へ (集英社文庫 青 107-B)

十八歳・海へ (集英社文庫 青 107-B)

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