やっぱり俺はこの子の事が好きなのだ

妻との出会いから子育てまで

便りがないのは良い便り

帰ってきて真っ先に連絡をしたのは恋人ではなく両親だった。
飛行機の窓際の席に座って「お飲み物は?」というスチュワーデスの質問に景色を見下ろしながら「ビール」と答えた瞬間に一抹の不安を感じたのは、通路際に太った外国人のおばさんが座っていて、トイレに行くのが難しそうだったから。スチュワーデスは忙しそうに食事を配っている。変えてくれとは声を掛けずらかったので、まぁ大丈夫だろうとタカをくくった。隣のおばさんが食事を終えてすぐにイビキをかきだすと、不安は高まり尿意は増した。
成田空港近くになってやっと携帯の電波が入ると母からのメールが連続10件くらい入っていた。宅配便が不在で届かず、電話を何度かけても留守番電話になっていたからだそう。
「生きてる?」という母のメールに「今にも膀胱が破裂しそうだ」と返事をしたい気持ちを抑えて空港のトイレに走った。「便意と便りの便は掛かっている」と思いながら、溢れる小便が壁に跳ね返って手に掛かり「嗚呼いろんな意味で掛かってる」とか思ったくらいテンパった。
親にはまめに連絡を取ろうと思った。