やっぱり俺はこの子の事が好きなのだ

妻との出会いから子育てまで

一日の最後の仕事

コンビニで週刊誌を立ち読み、最近のグラビアアイドルにはビビッと来ない。


「午前0時48分」


ビールを買うのを辞めたのは、これからは分刻みのスケジュールで生きていくから呑んでいる暇なんてないのだと、疲れた頭で考えたから。
昨日は飲んで家に帰っていない。
よく思いつくのだけれど一度も実行されていない俺の生き方。
気づけば前職の年収の2倍。
働く時間も2倍になっているから、時給はあがってないのだけど。
たぶん恵まれている、そう思うようにしている。
今日は5時間ぶっ通しの会議だった。
たまに脱線したり役員にどんでん返しされかけたけど、なんとかいい企画になった手応えがある。


夜風が気持ちよい。
自転車を降りて一人暮らしのアパートにつく。
風呂にお湯をはり、ネットを立ち上げ、ワイシャツをぬぐ。
ピッチの着信履歴を見て、ボタンを押す。
うまくそれを首で挟んで、手を洗う。
不在着信はなかった。


「もしもし」


「…もしもし」


「おやすみ」


「…おやすみ」


電話を切った。
彼女は寝声。
バランスボールに座ってブログを書き始める。


ほっとしているのがわかった。


「便りがないのはいい頼り」


寝ていても彼女は電話に気づくと出る。


今日一日の仕事を終えたような気がした。
一日の最後の仕事。


寝顔が見れない今の俺の一日の最後の仕事は「彼女の声を聞くこと」だと考えた。
きっとそうなんだと思った。